名も知らぬ
遠き島より
流れ寄る
椰子の実一つ
故郷の岸を
離れて
汝はそも
波に幾月
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なもしらぬ
とおきしまより
ながれよる
やしのみひとつ
ふるさとのきしを
はなれて
なれはそも
なみにいくつき
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旧の木は
生いや茂れる
枝はなお
影をやなせる
われもまた
渚を枕
孤身の
浮寝の旅ぞ
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もとのきは
おいやしげれる
えだはなお
かげをやなせる
われもまた
なぎさをまくら
ひとりみの
うきねのたびぞ
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実をとりて
胸にあつれば
新なり
流離の憂
海の日の
沈むを見れば
激り落つ
異郷の涙
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みをとりて
むねにあつれば
あらたなり
りゅうりのうれい
うみのひの
しずむをみれば
たぎりおつ
いぎょうのなみだ
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思いやる
八重の汐々
いずれの日にか
国に帰らん
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おもいやる
やえのしおじお
いずれのひにか
くににかえらん
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